ポーラ美術館のモネ・コレクション/詳細解説
クロード・モネ(1840年パリ生まれ、1926年ジヴェルニー没)は、光と大気の変化を描くために革新的な絵画表現を追求した印象派の中心的存在であり、戸外制作、混色を避けた明るい色彩の筆触分割や、時間、天候の差異を描き分ける連作などによって、新しい表現形式を提示しました。とりわけ終の住処となったジヴェルニーに造成した庭を題材とした「睡蓮」の連作はモネの集大成であるとともに、20世紀以降の絵画にも大きな影響を与えています。
ポーラ美術館のコレクションは、ポーラ創業家二代目の鈴木常司(1930-2000)が1950年代末から収集してきた西洋・日本の絵画、工芸、彫刻、版画、化粧道具等を基盤として形成されました。19世紀から20世紀前半の絵画、とくにフランスの印象派絵画は、コレクションの中心を成しています。なかでも19点を数えるモネの絵画はアジア最大の規模を誇り、光と大気の変化を追い続けたモネの、1870年代から1900年代にいたる画業の展開をたどることができる点が大きな特徴です。
クロード・モネ《睡蓮》1907年、ポーラ美術館
1870年代の作品には、パリ近郊のアルジャントゥイユ、グランド・ジャット島など、セーヌ河沿いの観光地や工場、パリの鉄道の駅など、同時代の近代化により変化していく風景を、明るい色彩と素早い筆致により描いた絵画が含まれます。1880年代の作品には、雄大な自然を求めて旅を重ねたモネがノルマンディーのエトルタの断崖やヴァランジュヴィルの豊かな自然を描いた風景画がみられます。
クロード・モネ《エトルタの夕焼け》1885年、ポーラ美術館
1890年代に入ると、モネは同じ主題を異なる時間や天候のもとで描く「連作」に取り組みます。当館にはモネの重要な連作「積みわら」「ルーアン大聖堂」「ロンドン風景」「ヴェネツィア風景」の各1点が収蔵されています。最も知られている連作は「睡蓮」です。モネは1880年代に移り住んだジヴェルニーで、自邸の庭に池を造り日本風の橋を架け睡蓮を植えた「水の庭」を造成し、晩年にいたるまで水面に映る光の変化を描き続けました。当館には「睡蓮」連作初期の《睡蓮の池》と後年の《睡蓮》が収蔵されています。
ポーラ美術館のモネ・コレクションは、モネの創造の軌跡をまとめてご覧いただくことができる、貴重なコレクションです。
クロード・モネ《ジヴェルニーの積みわら》1884年、ポーラ美術館
クロード・モネ《睡蓮の池》1899年、ポーラ美術館