館長ご挨拶

2002年、「箱根の自然と美術の共生」というコンセプトのもとで開館したポーラ美術館は、豊富なコレクションを独自のキュレーションのもとで展示・公開し、森の遊歩道の整備・拡張や現代美術の展示・収集などその活動の幅を広げることで、アートとの特別で豊かな出あいを提供してきました。国際的な人の往来が回復し、箱根が改めて注目されるいま、ポーラ美術館は2032年ビジョンとして掲げる「心をゆさぶる美術館」の実現に向けて、地域に開かれた美術館として、新たなステージへ進む時が来ました。

そのひとつとしてポーラ美術館の活動全般において「ホスピタリティ」を強く意識していきます。心地よくお客様をお迎えするためのフィロソフィーを取り入れ、多様な価値観に敬意を払いながら、お客様、従業員、地域の方々など美術館を取り巻くすべてのステークホルダーが、美と出あう喜びや感動を体験し、一人ひとりにより豊かな時間が生まれる場となるようにしたいと考えています。また、豊かな自然に囲まれた箱根の美術館には、日常から離れた旅先として、都市の美術館では得られない特別感や思い出、居心地の良さ、リフレッシュ感を提供することが求められています。自然の中で心を開き、アートに触れる特別な時間を過ごすために訪れるお客様の気持ちに常に寄り添い、さらにここで何ができるのか。体験価値の最大化を追求していきます。そして、ポーラ美術館は箱根の地域コミュニティとの繋がりをさらに強めていくことで、地域の皆様とさらに密接なパートナーシップを築き、アートを通じた地域の活性化と成長にも貢献できると確信しています。
引き続きポーラ美術館にどうぞご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。
ポーラ美術館 館長 野口弘子