ムーラン・ド・ラ・ガレット

作家名
モーリス・ユトリロ
制作年
1910年頃
技法・素材
油彩/厚紙
サイズ
33.2 x 46.0 cm

モーリス・ユトリロ 《ムーラン・ド・ラ・ガレット》 1910年頃

作品解説

サクレ=クール寺院が20世紀以降のモンマルトルの象徴ならば、風車は19世紀のこの丘の代名詞であった。かつては30基ほどの風車が丘に建っていたが、現在ではこのムーラン・ド・ラ・ガレットだけが原型をとどめている。風車の歴史は、モンマルトルを描いた画家たちの歴史そのものであった。19世紀には、コローとゴッホが、丘に吹く風を一身に受けて農村の仕事を担うたくましい風車の姿を画題に選んでいる。またムーラン・ド・ラ・ガレットは大衆的なダンスホールに改装され、その賑わいと女性たちの嬌声はルノワールやトゥールーズ=ロートレックを魅了した。20世紀初頭にこの地で青春を謳歌したピカソとヴァン・ドンゲンは、ダンス・ホールで男女が寄り合う頽廃的な夜の光景を描写している。ユトリロは往年の面影が見え隠れするこの風車を、生涯さまざまに描き続けた。あざやかな色の点描で表わされた樹木の葉に彩られた本作品の風車は、やわらかな陽光に照らし出され、静かな秋の到来を感じさせる情景のなかにたたずんでいる。