12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
1920年代のフジタは「アトリエの画家」としての自画像を繰り返し描いています。その多くは、硯と紙の置かれた作業机に向かい、右手に墨をつけた面相筆を持ってポーズをとる姿を描いたものです。本作品では、あぐらをかいて裁縫をするフジタの日常的な姿がとらえられています。自身の姿を客観的にみつめることによって、自己の内的世界に踏み入れようとする画家の意識が垣間見えます。フジタの自画像のなかには、煙草などの嗜好品や自分が愛用していた日用品がよく登場します。手先が器用で、夜の社交場に着ていく衣装を自作するほど裁縫が得意だったフジタにとって、針、糸、ボタン、針山などの裁縫道具は格好の題材でした。