ハイライト [ 2020/10/19 ] ゴッホと日本 大正から昭和期にかけて、日本ではゴッホを西洋美術の大家として賛美する風潮が生まれます。貧困と苦悩に喘(あえ)ぎながらも芸術に身を捧げた不遇の天才として、ゴッホ人気は異常なまでの高まりをみせ、日本独自の「ゴッホ神話」が形成されていったのです。 古今東西の芸術家に扮したセルフポートレートを発表している森村泰昌(1951-)もまた、近代日本におけるゴッホ受容に大きな影響を受けているといえます。1985年(昭和60)、森村が最初に向き合った芸術家はまさにゴッホでした。現代の我々にとっても、ゴッホの自画像が「芸術家のアイコン」としていかに強く意識されているかを物語る作品です。 【上】森村泰昌 《肖像(ゴッホ)》 1985年(昭和60) 高松市美術館 /【下】萬鐵五郎 《女の顔(ボアの女)》 1912年(大正元) 岩手県立美術館