展覧会
12/8
2018
3/17
2019

東信 Drop Time

2018.12.08 — 2019.03.17

会期

2018年12月8日(土)-2019年3月17日(日)

 

フラワーアーティストとして活躍する東信(あずま・まこと)による当館の花の絵画とのコラボレーション作品を展示いたします。今回はポーラ美術館が収蔵する3点の花の名画をモティーフに、生花によって花びらや茎の角度までも見事に再現しました。さらにその花々を数週間にわたって撮影し、花の命の移ろいを記録することで、こぼれ落ちていくような時間を表現した映像作品です。

東信《Drop Time ー菊ー》2018年 ビデオ ⒸAMKK

東信《Drop Time ー菊ー》2018年 ビデオ ⒸAMKK

作家コメント

 

「名画の時間」作品制作に寄せて

私は2015年より「名画と花」というテーマで過去の偉大なる先人たちが描いてきた花の名画を、「活ける」という行為を通じて模写する試みをはじめた。それは日々刻々と変化する短命な花々を前に、ゴッホやピカソ、ルドンやルノワールといったさまざまな画家たちが、どのような視点で、どのような思いを馳せて描いたのか、その心に自らの心を重ねていくような作業であった。

 

今回ポーラ美術館が『名画の時間』という展覧会を開催するにあたり、収蔵される名だたる名画の中から3点、現代風に再解釈をして活けさせていただくという貴重な機会を頂いた。そして今までは「模写」として写真におさめてきた花々に、今度は命を吹き込み、そこから動き出す「時間」を追いかけ、映像化することにした。花々は自由に動き、揺れ、あるものは美しく咲き、あるものは静かに朽ちてゆく。水は濁り、花びらは散り、葉は変色する。それらは花が単なる物体ではなく、我々人間と同じように尊い「時間」を刻む命の姿であることを物語っている。

 

私たちはこれらの「時間」を体感しながら、改めて名画を覗き込む。おそらく画家たちも描いていく中で移り変わる花の時間を眺めていたにちがいない。だとすると、描かれた花の姿は単なる花の一瞬ではなく、彼らの記憶の中に宿る花の命そのものだということに気付くだろう。

 

東信