展示替えの夜
野口弘子
09/26 2023
現在開催中の「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画」展は、西洋絵画の展覧会よりも頻繁に展示替えが行われます。それは、日本画が和紙や絹本といった支持体の上に、岩絵具を膠(にかわ。牛や鹿の皮や骨などのタンパク質を煮て取り出したゼラチン質)を使って画面に定着させる、という方法で描かれており、とても繊細なものだからです。
もちろん、展示室は温度や湿度が一定に保たれており、直射日光が当たらないようになっています。それでも人工の光に晒されることも作品の保存という観点では日本画にとってストレスがかかります。
他館から作品をお借りするときも事前に約束した展示期間を守って、負担を最小限にするようにしています。
展示を終えて収納箱に梱包された作品を前にすると「箱根まで来てくれてありがとうね。ゆっくり休息してね、そしてまたどこかで会いましょう」と声をかけたくなります。そんな気持ちになった展示替えの夜でした。