ゲストリレーション・ミュージアムショップスタッフ募集のお知らせ【パート・アルバイト】
舞台の幕を思わせる華やかなバラ色の布が架かる空間に、ギターを手にした伴奏者の女と、抱き合う二人の人物が、やわらかな薄絹の衣装の裾から白い肢体を顕(あらわ)にしてポーズをとっている。黒い瞳にピンク色の口紅と頬紅だけで示唆された女たちの顔立ちは、濃い化粧が施された舞台女優、あるいは神事に奉仕する巫女のようでもあり、神秘性を強く印象づけている。抱擁する二人の人物の関係は、娘役と男役を演じる女優たちであるのか、あるいは女同士の恋人たちであるのか定かではない。謎めいた恋物語をさまざまに惹起させるその曖昧さこそ、ローランサンの意図するところであり、モデルたちの切れ長のまなざしからは、観る者の好奇の目に臆することなく女たちのユートピアを生きる気高い意志が読みとれるだろう。 このような新時代の女性を主題にして、白色と淡いバラ色、そして灰色の雲のような諧調で覆われるローランサンの絵画は、1920年代以降パリの社交界に受け入れられて人気を博していた。本作品は、画家と交流のあった画商ポール・ギヨームがかつて所有し、芸術家たちの社交の場として開かれた彼の豪奢なアパルトマンのサロンに掛けられていた。