犬のいる自画像

作家名
エドヴァルド・ムンク
制作年
1925-1926年頃
技法・素材
油彩/カンヴァス
サイズ
80.5 x 99.5 cm

エドヴァルド・ムンク 《犬のいる自画像》 1925-1926年頃

作品解説

1916年、ムンクは首都クリスティアニア(現在のオスロ)の郊外エーケリーに広大な土地を購入した。山小屋風のアトリエと大型作品用の野外アトリエを建て、制作に励んだこの地は、彼の終の棲家となった。精神の病から他人に対し疑い深いところを見せていたムンクだが、エーケリーでは犬と馬を飼い、よく世話をした。庭の柵のなかで放し飼いにされた数匹の犬に餌を与えるムンクの写真も残っている。 ムンクは最晩年の《柱時計とベッドのあいだの自画像》(1940-1943年、ムンク美術館蔵)に代表される数多くの自画像を残しているが、本作品の逆光を効果的に利用した人物描写、そして濃紺を基調にした暗い室内に射しこむ光をあざやかな黄で強調した色づかいなどが、《夢遊病者の自画像》(1923-1924年、ムンク美術館蔵)に連なる作品であることを示している。窓から射しこむ強い光を横顔に受けたため、表情が判然としないムンクと2匹の犬は、微妙な距離を保って向かい合っている。犬たちは飼い主であるムンクに近づこうとしつつも警戒しているかのようだ。それは作者自身の心の奥底に棲みついた不信や強迫観念を象徴しているようにも感じられる。

ポーラ美術館の収蔵するエドヴァルド・ムンクのコレクション