ペルシアの王の贈り物を拒絶するヒッポクラテス 展示中

作家名
ウジェーヌ・ドラクロワ
制作年
1830年代 (?)
技法・素材
油彩/紙 (カンヴァスに貼付)
サイズ
25.1 x 27.5 cm

ウジェーヌ・ドラクロワ 《ペルシアの王の贈り物を拒絶するヒッポクラテス》 1830年代 (?)

作品解説

ドラクロワは政治家の父とルイ15世の宮廷家具師の娘を母にパリ近郊のシャラントン=サン=モーリスに生まれた。17歳のとき、新古典主義の画家ピエール・ナルシス・ゲランのアトリエに入り、テオドール・ジェリコーと出会う。1822年、《ダンテの小舟》(ルーヴル美術館)がサロン(官展)に初入選し、大胆な色彩と動感あふれる画面構成でロマン主義の先導者とみなされた。彼の絵画様式は、後の印象派の画家たちにも強い影響を与えている。 この《ペルシアの王の贈り物を拒絶するヒッポクラテス》は、古代ギリシアの医学の大成者ヒッポクラテス(前460-?)の逸話を描いたものである。この話は、ヒッポクラテスがアテネにいたとき、彼の気を惹こうとするペルシアの王アルタクセルクセスの豪華な贈り物を拒絶したというものであり、絵画や詩に取り上げられた。このような主題は、病院や診療所などのために制作されたことが多く、本作品も1832年または33年にドラクロワが肖像を描いた医師のデメゾンが所有していたと思われる。 また、ドラクロワはこの主題を、1842年制作とされるブルボン宮殿図書館の「科学」の円天井の穹隅のひとつにも描いている。この穹隅でヒッポクラテスは、右手を伸ばして拒絶のポーズをとり、両側の贈り物を差し出す人物像とともに立ち姿で表わされている。一方、当館所蔵の作品ではヒッポクラテスは座っており、画面左下に描かれたペルシアの王の使者が差し出す贈り物に対して拒絶というよりも強い驚きの感情を示すポーズをとっている。本作品はブルボン宮殿の穹隅ほど構想が練られていないため、後年のヴァリアント(異作)というよりも、これに先行した作例である可能性が指摘されている。

ポーラ美術館の収蔵するウジェーヌ・ドラクロワのコレクション