夜の人物と鳥 展示中

作家名
ジョアン・ミロ
制作年
1944年
技法・素材
グワッシュ、パステル/カンヴァス
サイズ
74.0 x 53.1 cm (不定形、最大値)

ジョアン・ミロ 《夜の人物と鳥》 1944年

作品解説

スペインのカタルーニャ地方の都市バルセロナに生まれ、美術学校で学んだミロは、1920年以降、同じカタルーニャの小村モンロッチとパリを行き来して活動する。ミロは幼い頃から中世のフレスコ画やガウディの建築に触れ、その大胆な形と色に魅了された。故郷の風土に根ざした生命力溢れる作品を制作する一方で、パリでは『シュルレアリスム宣言』(1924年)を発表した詩人アンドレ・ブルトンと親交を結び、シュルレアリスムの運動に参加する。 この《夜の人物と鳥》では、円、三角などの幾何学的な図形と、顔や髪の毛といった人間を暗示させる細い線がミロのユーモラスな生き物をしなやかに躍らせている。幼児の屈託のない世界を思わせるのは、曲がりくねった不思議な生き物が、「オートマティスム」(自動記述)の方法で、自由なフォルムを獲得しているからであろう。ゆるやかなカーヴや、絡まった線、あるいは生命の律動を表わすような波線がきわめて即興的に組み合わされている。空と大地をひとつに包む夜の闇には、星のきらめきを表わす記号と色斑がバランスを取るよう的確に配置され、動と静のリズムがこの空間を無重力にしている。1940年代初頭に星を画面全体に配した連作〈星座〉を制作した後、ミロのデッサンは単純化するにつれ、カンヴァスの地の果たす役割がしだいに大きくなっていく。 本作品は、第二次大戦が終結する前年に制作された。大戦中のミロは、戦禍を避けて各地を転々としながら制作を続けていた。画材の入手もままならない状況に置かれたが、ミロは1944年に陶芸と彫刻の制作をはじめ、素朴な自然の素材に触れることで活力を得た。本作品でも、ミロは温かみをもつカタルーニャの大地のような粗いカンヴァス地を用い、この困難な状況を絵画表現に生かしている。 ミロは晩年マジョルカ島パルマにアトリエを構え、彫刻、陶芸、壁画、版画、詩と多彩な芸術活動を行ない、90歳で歿した。