海洋の帆船

作家名
ウジェーヌ・ブーダン
制作年
1873年
技法・素材
油彩/カンヴァス
サイズ
32.6 x 46.3 cm

ウジェーヌ・ブーダン 《海洋の帆船》 1873年

作品解説

ブーダンは、フランスやヨーロッパの各地を旅して絵画制作を続けたが、もっとも多く制作したのがフランスの大西洋岸の海浜風景であった。この海景がどこで制作されたのかは定かではないが、おそらくはブルターニュ地方の、この時期にしばしば制作を行っていた、カマレ沖の海景であると推測される。
 1857年に、ブーダンはル・アーヴルで若きモネと出会い、屋外で絵を描くことを教えたことで知られているが、この《海洋の帆船》も、実景を目にしながら画家が受けた印象が留められた作品である。ブーダンはサロン出品を続けつつ、1874年の第1回印象派展に出品しているが、本作品にも印象派につながる表現を認めることができよう。画面の低い位置に水平線が置かれ、画面下部の海の部分では、力強いタッチをすばやく重ねて、光にきらめく海面の波のうねりや揺らめきを表現し、海上には数隻の帆船が浮かんでいる。画面上部を占める空の部分には、湧き立つ雲が活き活きとした筆遣いで描き出されている。彼の海景画では、空が画面の大半を占めるが、刻々と移り変わる大気の表情を鋭い観察眼でとらえた作品を前にした詩人シャルル・ボードレールは、絵を見ただけで季節や時刻、風向きがわかると讃辞を呈し、コローはこの画家を「空の王者」と称えた。