12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
ヴラマンクは、1907年のサロン・ドートンヌの回顧展で目にしたセザンヌの作品の画面構成、形態の分析を研究する。セザンヌの作品は、ヴラマンクの簡素で堅固な構図の礎となった。ヴラマンクは1913年、南仏を旅していたドランに合流するために、ローヌ渓谷、ついでマルセイユ、マルティーグを訪れている。本作品は、セザンヌも描いたアヌシー湖の風景であると考えられる。画面左右の内側に傾いた木々は、おそらく実景ではなく、セザンヌの≪大水浴図≫(1899-1906年、フィラデルフィア美術館蔵)からの引用であろう。色彩は、≪シャトゥー≫(1906年頃、ポーラ美術館蔵)のあざやかな色調とはまったく異なった、実景に近い色調に抑えられており、赤い屋根と白壁の家々、湖面の反映、そして画面手前の木々の葉むらは、平面的な筆使いで描かれている。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)