白いテーブルクロス

作家名
ポール・ゴーガン
制作年
1886年
技法・素材
油彩/板
サイズ
54.4 x 58.2 cm

ポール・ゴーガン 《白いテーブルクロス》 1886年

作品解説

ゴーガンが、はじめてブルターニュの小さな村ポン=タヴェンを訪れたのは1886年7月である。アヴェン河口のポン=タヴェンは、かつては14基の水車と15軒の家しかない静かな村だったという。1860年代よりアメリカ人の画家たちが集まっていたが、素朴な地方として注目され、訪れる人々が増えていった。ゴーガンは、家賃、食事込みで月60フランという良心的なグロアネクの下宿屋で絵画制作に打ち込んだ。彼の周りには若い芸術家たちが集まり、この地は芸術家村となった。芸術家たちは8月15日の聖母マリアの被昇天祭の祝祭日の慣習として、グロアネク夫人に作品を贈ることにしていた。白いテーブルクロスの上のワインデカンタ、ブルターニュの伝統的な水差し、さくらんぼ入りの器を描いた本作品も、ゴーガンがこの慣習に習い、宿屋のために制作し贈ったものである。1892-1893年にポン=タヴェンに滞在したスイス人画家クーノ・アミエは、グロアネクの宿屋でこの作品を見た感想を残している。「白い布の上に置かれた鉢のなかのさくらんぼ。何の気取りもない全き単純さ、それは不思議に透き通っており、そこには魔法のような輝きがあった」。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)