12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
シャガールは最愛の妻ベラの肖像画を数多く描いている。彼女はモスクワの大学で高い教育を受け、教養と知性を備えた女性であった。詩作も手がけ、シャガールの『わが回想』をフランス語に翻訳したのも彼女だった。キュビスム的な人体表現と室内表現がみられる《花束と横たわる裸婦》(1911年、個人蔵)と、ほぼ同じ構図で描かれている本作品では、上半身をあらわにして横たわり、画家に優しい視線を投げかけたベラが描かれている。《花束と横たわる裸婦》にみられる、横たわる裸婦や花瓶に挿した花などの配置には、マネの《オランピア》(オルセー美術館)の影響が指摘されている。《休息、ベラと花》の構図とベラのポーズはまったく《花束と横たわる裸婦》と一致しているが、画面左には木と家並み、湖などの風景が見える窓が加えられている。この作品ではキュビスムの幾何学的な形態は影をひそめ、人体は曲線を描き、水彩の透明感とやわらかな筆使いが優しい雰囲気を醸し出している。