12月2日(月)~13日(金)まで臨時休館いたします
灰色の煙を吐き出す煙突がたくさんある工場の前を、もくもくと白い噴煙をあげて貨物列車が走り抜けていきます。これは、フランス北西部ノルマンディー地方の中心都市ルーアンの西に位置する町デヴィルの風景です。モネは、この風景をやや高い視点からとらえています。デヴィルは、フランク王国時代の石棺やガリア時代の遺物が残る、歴史の古い町ですが、18世紀に金属工業の工場が造られ、19世紀に飛躍的に発展しました。また、布織物の工場も多くみられました。この作品でモネは、自然の風景ではなく、近代化によって変わりゆく風景―田園から都市へ―においても、風景にみられる煙や列車などの移ろいゆくものの一瞬をとらえています。また、画面の前面には、パラソルをさした婦人と男性の姿が小さく描きこまれていますが、これはモネが風景に都会的な雰囲気を与えるために加えたものです。