猫を抱く少女

  • 作家名 レオナール・フジタ (藤田嗣治)
  • 制作年 1962年
  • 技法・素材 油彩/カンヴァス
  • サイズ 45.9 x 33.2 cm
猫を抱く少女の姿は、フジタが生涯にわたって描いたモティーフのひとつである。古風な衣装を身に着けたこの小間使い風の少女は、他のフジタが描いた子どもたちと同様、想像上の子どもであろう。少女は室内に設けられたマントルピースの前で落ち着いた面持ちで座り、飼い主に抱かれた猫は、彼女の視線の先と同じところを凝視し、ぎょっとした表情をみせている。この一瞬のけぞるような格好をした猫は、静寂な室内空間のなかで動的なアクセントとなっているとともに、静かに微笑む少女の存在を対照的に引き立てている。 1959年にキリスト教に改宗したフジタは、しだいに聖母子像をはじめとする宗教画を描くことが多くなっていく。本作品でフジタは、明るい光で少女を照らし出し、背景のマントルピースやアーチ状に映ずる光と影を祭壇に見立てることによって、この室内を神聖なものにしている。