少年道化

作家名
三岸好太郎
制作年
1932年(昭和7)頃
技法・素材
油彩/板
サイズ
33.0 x 23.6 cm

三岸好太郎 《少年道化》 1932年(昭和7)頃

作品解説

1921年(大正10)、札幌一中を卒業後に上京し、白樺美術館第1回展でセザンヌとゴッホの作品を見て刺激を受けた三岸好太郎は、春陽会主催の展覧会で入選、入賞を重ねて画壇にデビューした。初期の作品は、岸田劉生を中心とする草土社風の暗い色調の画面に、この時期評判を呼んでいたアンリ・ルソーの作風を加味したものであった。以後、「静かに朗らかな雰囲気、又その内に浮漾する或る唐突さを感じさせるグロテスクな、又フアンタステイツクな感じ、そう云うふ味」と絵画の本質的要素―形と形が並び合い、色と色が隣り合うことによって生まれる美―を融合させて描くことが三岸にとって大きなテーマとなった。
 三岸の画業のなかでもひときわ暗く、重い画風の「道化」を中心とするシリーズは、1926年(大正15)に異国情緒漂う植民地都市、上海を旅行し、そこで見たサーカス団の道化役者の姿に触発されたことからはじまる。春陽会第7回展(1929年)に出品した《少年道化》(東京国立近代美術館)を皮切りに、不気味な笑みをたたえた《マリオネット》(1930年、北海道立三岸好太郎美術館)を経て、ジョルジュ・ルオーの感化がうかがわれる作品にいたるこのシリーズからは、三岸のロマンティシスムの一端をみることができる。1932年頃に描かれた本作品には、まさにルオーの影響によるフォーヴィスム風の激しい筆触や大胆な色づかいが顕著に表われている。そして不透明な油絵具を厚塗りし、透明な絵具を薄塗りするという技法を巧みに使いこなした本作品から、たんなる西洋の前衛美術の模倣という域にとどまらない、三岸の鋭敏な感性が伝わってくる。