『悪童たち』(挿絵本)

作家名
マルク・シャガール
制作年
1958年刊
技法・素材
エッチング、アクアティント/紙
サイズ
外形: 44.6 x 34.4 x 4.5 cm

マルク・シャガール 《『悪童たち』(挿絵本)》 1958年刊

作品解説

著作権有効作品のため、画像を表示していません。画像は『シャガール 私の物語』展図録(p. 94-97、cat. 25)をご覧ください。

『悪童たち』は、南仏のニーム生まれの作家ジャン・ポーラン(1885-1986)による自伝的な短編。多感な思春期の頃のポーランが初めて自己を見つめ、自らを愚かな存在だと吐露することから物語が始まる。執筆のアイディアが次から次へと湧き上がり、文筆家になる決意を固めるものの、取り組むべき「良い主題」とはなにかを悩む。
 シャガールも、10代の頃に画家の道を進むべきか逡巡した過去を持つ。本作品では、シャガール、ポーランと名が書かれた帽子を被り、書籍とパレットを携える主人公らしき人物が描かれた第1図にはじまり、10点の挿絵すべてにおいて、ふたりの物語がゆるやかに融合している。シャガールは、魚、鳥、動物や不思議な人物像などの馴染み深いモティーフに、少年ポーランが想像する古代エジプト文明の聖なる牡牛アピスや、鷹を神格化したホルス神の姿を溶け込ませている。
 本作品はシャガールによる多色刷りの初めての銅版画であり、水彩画を思わせるアクアティントの技法が、少年時代の想い出を瑞々しく表わしている。(『シャガール 私の物語』図録、2008)