ゲストリレーション・ミュージアムショップスタッフ募集のお知らせ【パート・アルバイト】
著作権有効作品のため、画像を表示していません。画像は『シャガール 私の物語』展図録(p. 78-85、cat. 23)をご覧ください。
宙を舞うアクロバティックな人物像を描くシャガールに、サーカスをテーマに版画を制作するよう依頼したのは画商ヴォラールであり、その目に狂いがなかったことを本作品は明らかにしている。ヴォラールは「シルク・ディヴェール」(冬のサーカス)の席を買い取るほどの無類のサーカス好きであり、招かれたシャガールもサーカスに足繁く通うようになった。挿絵本『サーカス』は、1939年にヴォラールがなくなると出版者テリアードが刊行のための仕事を引継ぎ、下絵の制作から40年の歳月を経て日の目を見ることになった。カラーとモノクロームの図版からなる38点の挿絵には、卓越した版画技法が駆使されている。
シャガールは挿絵とともにテキストを綴り、サーカスにまつわる魅力的な回想が本書では繰り広げられている。ピエロ、曲芸師、動物たちが躍動する夢幻の空間は、まさにシャガールの描く世界そのものであり、シャガールはサーカスの登場人物に自らの姿を重ね、サーカスの舞台に自己の人生を見ていたのであった。(『シャガール 私の物語』図録、2008)