静物

作家名
小出楢重
制作年
1924年(大正13)
技法・素材
油彩/カンヴァス
サイズ
53.2 x 64.7 cm

小出楢重 《静物》 1924年(大正13)

作品解説

小出楢重は、一子相伝の膏薬「天水香」で有名な薬屋の長男として生まれた。彼は家業を継承するものと思われていたが、少年時代からずば抜けた画才の片鱗をみせ、本人も洋画家となることを望んだため、父の許しを得て、1907年(明治40)東京美術学校に入学する。当時、西洋画科の上級にはフォーヴィスム風の作品を発表していた萬鐡五郎がおり、また文芸雑誌『白樺』によってゴッホやセザンヌが積極的に紹介されていたが、彼はそれらにはまったく無関心といった様子で、古典的、写実的な制作を行なっていた。1919年(大正8)、《Nの家族》が第6回二科会展で樗牛賞を受賞、翌年には《少女お梅の像》が二科賞を受けて一躍画壇に注目される存在となった後は、関西洋画界で中心的な役割を果たした。
 小出は自著『油絵新技法』のなかで、静物画は「あまり人間の自由になり過ぎる為に反つて災を招」くとし、「嫌味なわざとらしい構図が出来上るものであるから注意せねばならない」と述べているが、実際にはごくありふれた物をかなり意図的に並べた作品が少なくない。本作品も中央にあるガラス器のまわりに玉葱、南瓜、茄子などを雑然と配したような構図であり、それらひとつひとつの色彩、たとえば赤や黄色や紫が、強烈なハイライトを伴ってどぎつい印象を与える。しかし、物の形態と色彩が複雑に絡まりあって、いきいきとしたリズムに富んだ動的な調和が保たれている。