箱根仲秋

作家名
児島善三郎
制作年
1958年(昭和33)
技法・素材
油彩/カンヴァス
サイズ
69.8 x 85.0 cm

児島善三郎 《箱根仲秋》 1958年(昭和33)

作品解説

児島善三郎は20歳で上京し、岡田三郎助の指導する本郷絵画研究所に学んだ。1925年(大正14)から約3年半ヨーロッパに留学し、同時代の芸術動向よりはむしろギリシア美術やイタリア・ルネサンスなどの古典芸術に傾倒し、その研究に力を注いだ。1930年(昭和5)には三岸好太郎、林武、里見勝蔵らと独立美術協会を創立し、「日本人の油絵」を主張しつつ独自のフォーヴィスムを展開した。
 児島は1934年(昭和9)頃から「日本的風景画」を目指し、南画や琳派の研究にもとづく簡略化された豪放な形態と華麗な色彩による装飾的表現を風景作品に取り入れた。その顕著な作例が、《箱根》(1938年、三重県立美術館)や《東風》(1939年)である。その後、表現があまりにも写実から離れてしまったことへの反省から、従来の写実を根底にする表現へと回帰していくが、それは1958年作のこの《箱根仲秋》にもつながっている。本作品は、芦ノ湖の南、箱根峠から望む景色を描いた作品である。見る者の目は、大きくとらえられた手前の丘、中景に立ち並ぶ樹木、広がりを感じさせる芦ノ湖、雄大に描かれた山々そして空へと誘われる。画面は、近景と遠景の黄色系の色調を中景の湖の澄んだ青が二分する構造となっており、点在する赤褐色や樹木の緑と、それを縁取る茶褐色が画面を引き締めるとともに、色彩の調和をもたらしている。