ゲストリレーション・ミュージアムショップスタッフ募集のお知らせ【パート・アルバイト】
おかっぱ頭にネクタイ姿という、第一次大戦を契機にパリで流行したギャルソンヌ・スタイルのモデルは、憲兵隊司令官の娘ルネ・グロ。画塾アカデミー・ランソンで絵を学び、芸術家をこころざすこの進歩的な女性は、画家キスリングの妻となった。1916年にモディリアーニは、モンパルナスのジョゼフ・バラ通りにあるキスリングのアトリエに出入りし、本作品が制作された1917年にルネとキスリングは結婚している。モンパルナスを代表するこのカップルと画家の絆は固く結ばれ、その友情の証のように本作品の上方にはルネの名が記されている。首を傾いだルネは、大胆に肘をつき、くつろいでいる様子である。ゆるやかに曲線を描く鼻と、笑みをたたえる花びらのような唇は、哀感が漂う大きな瞳に優雅で温かみのある表情を与えている。画家が得意とした直線的なデッサンが、首から上着にかけての構図を引き締める一方で、背景にそえられた草花の装飾文様や、手首にのぞく点描で表わされた繊細なアクセサリーは、ルネの可憐な一面をさりげなく示している。