知ルドン

2018/06/27

幻想的な風景を創り上げる独自のプロセス

ルドンはしばしば作品制作において、はじめから特定の物語の人物の姿を描こうとするのではなく、自然のなかの雲や波間という曖昧な形のなかに人や動物の姿を見出し、少しずつイメージを洗練させながら、物語を「あとづけ」するように表現しています。

グワッシュ作品《ダンテの幻影》では、画面右の人物に対して中央の人物像はまだ判然とせず、あたかも雲のなかから、徐々に人物の姿が現れてくるようです。しかし続いて描かれた油彩画《ダンテとベアトリーチェ》においては、繊細で美しい線描によって、ダンテの『神曲』のダンテ自身と「天国篇」に登場する恋人ベアトリーチェの横顔が雲のなかにはっきりと現れています。

ルドンは『神曲』などのほかにも、アポロンの馬車やオケアノスといった古代神話を思わせる主題を、雲や波のなかに見出しています。