観ルドン

2018/06/27

展覧会構成

第1章 夢のなかで ― 「夢」の源泉

ルドンは、1879年に版画集『夢のなかで』を発表し、芸術家としてデビューを果たします。この版画集は、不気味な幻想世界を表現するものであると同時に、同時代の自然科学の潮流と結びついていました。ルドンが敬愛し、影響を受けたとされる先達の芸術家や、印象派のモネらと比較することで同時代の美術の動向との相関を明らかにします。

第2章 水と生命 ― 始原的なかたち

ルドンにとって、生命を育む母胎であるとともに想像の源泉でもあった海。彼は海のなかに神秘的な生命の存在を感じ取り、太古の原始生物のような姿を描いています。
1890年前後を境に、豊かな色彩を湛える絵画を制作するようになると、それまで描くことのなかった風景表現があらわれます。水が気体となった雲や、不思議な色に染まった海底から神秘的なモティーフが生まれます。

第3章 翼と気球 ― 近代性と神話

古来より人類が憧れた、自由に空を飛ぶという夢は、ルドンの生きた19世紀後半には、気球や飛行船の実用化という科学技術の力によって現実のものとなりはじめていました。ルドンはこうした上昇や飛翔というイメージを、イカロスやアポロンの馬車など古代の神話と結びつけながら、新しい物語の場面として生み出しています。

第4章 ひらかれた夢 ― 花と眼

植物学者アルマン・クラヴォーから、科学的・哲学的な知見を得たルドンは、生涯にわたって植物に人の姿を重ねる幻想的なイメージを生み出しました。晩年にルドンが描く色彩豊かな花の絵画も、単に現実の花を描いたものではなく、神秘と官能を湛えています。また世紀末にかけて装飾美術が流行するなか、ルドンは植物のイメージを室内装飾や調度品にも活かしました。

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第5章 21世紀にひらく夢 ― 受け継がれるルドン

ルドンの芸術は19世紀末から20世紀初頭という激動の時代の中で、様々な影響を受けながら形成されていきました。暗示的かつ神秘的なルドンの芸術観は、現代に生きる版画家である柄澤齊や、幻想的な絵画を描くイケムラレイコ、そして奇怪な生物のイメージを生み出す鴻池朋子の世界に受け継がれていきます。