日常のエレガンス ― 西洋近代の化粧セット
会期
2025年12月13日(土)~2026年5月31日(日)会期中無休
会場
展示室4
化粧道具は、女性たちの日常に寄り添い、美しさや装いを支えてきた大切なアイテムです。本展覧会では、19世紀から20世紀にかけての西洋の化粧道具に焦点を当て、その美しさと機能性の変遷をたどります。これらの道具は、当時の社会背景や技術の進歩を反映し、女性のライフスタイルや自己表現の移り変わりを物語っています。
展示では、各時代を象徴する化粧セットを中心に、パウダーボックス、香水瓶、鏡、ブラシ、マニキュアセットなど、装飾性と実用性を兼ね備えた品々をご紹介します。19世紀後半から20世紀初頭のベル・エポックに流行したアール・ヌーヴォー様式の優美で華やかな化粧セットや、20世紀前半に登場した機能性を重視したアール・デコ様式の携帯用化粧セットやコンパクトなど、時代の美意識を感じていただける内容となっています。また、19世紀から20世紀にかけて、鉄道や自動車などの移動手段の発達により、休日を郊外で過ごすレジャーや旅が人々の生活に定着しました。こうした社会の変化が化粧文化にもたらした影響についてもご紹介します。
本展には、同時代に活躍したピエール・オーギュスト・ルノワール、フェルナン・レジェが女性を描いた絵画も展示いたします。本展を通じて、化粧道具の背後にある時代や社会、人々の感性や生活の一端に触れていただけましたら幸いです。
《あやめ文銀製化粧セット》ゴールド&シルヴァースミス、1903-1907年、ポーラ美術館
《あやめ文銀製化粧セット》ゴールド&シルヴァースミス、1903-1907年、ポーラ美術館
ピエール・オーギュスト・ルノワール《髪飾り》1888年、ポーラ美術館
ピエール・オーギュスト・ルノワール《髪飾り》1888年、ポーラ美術館