ケシ文花器

  • 作家名 エミール・ガレ
  • 制作年 1900年頃
  • 技法・素材
  • サイズ 高42.9 径17.4 cm
透明ガラスに黄緑色を被せた2層の被せガラス。全体がケシの実の形をイメージして造形され、ブロンズ製の台座も開いた花弁の様子を写している。ケシの実がたくさん浮き彫りされているが、花そのものは表現されていない。しかし、白地に暗紅色を重ねた色ガラスの薄片で作った花弁が、花器の表面をはらはらと舞い落ちて、植物の生の営みが暗示されている。グラヴュールによって細やかな彫刻が施された花弁は、ガレが特許を申請したマルケトリーによる象嵌表現である。元来は家具の天板や鏡版などを飾る象嵌細工に由来する技法である。ガレは家具製造部門も経営していたので、木工技術をガラスに応用したのであった。(『名作選』 2007)