『死せる魂』(ゴーゴリ著)

作家名
マルク・シャガール
制作年
1948年刊
技法・素材
エッチング、ドライポイント、アクアティント/紙
サイズ
第1巻外形: 38.5 x 28.6 x 4.5 cm; 第2巻外形: 38.5 x 28.9 x 4.5 cm

マルク・シャガール 《『死せる魂』(ゴーゴリ著)》 1948年刊

作品解説

著作権有効作品のため、画像を表示していません。画像は『シャガール 私の物語』展図録(p. 54-61、cat. 12)をご覧ください。

シャガールが初めて手がけた版画技法による挿絵本。1922年にベルリンで銅版画の技法を学んだ翌年、シャガールはパリの名高い画商アンブロワーズ・ヴォラールから、挿絵本制作の依頼を受けた。ヴォラールはフランスのおとぎ話を提案したが、ロシア革命に続く政変の波に翻弄されて故郷を後にしたシャガールは、ロシア文学の傑作『死せる魂』を選んでいる。
 ニコライ・ゴーゴリ(1809‐1852)による長編叙事詩『死せる魂』は、帝政ロシア下の詐欺師チーチコフが、地方に出かけて地主たちと交渉し、死んだ農奴の戸籍を買い集めてその農奴を担保に大金を騙しとろうとする物語である。堕落腐敗した役人や地主たちのさまざまな非人間的な姿――傲慢、無知、愚痴屋、乱暴者、ほら吹きなど、ロシアの階層社会の闇を、痛烈な社会批判の目で捉えている。
 シャガールは、ゴーゴリが登場人物を描写した鋭い洞察力を借りて銅版画に表わしている。人間の醜態を誇張する一方で、ロシアの農村の自然や動物など、心温まる細部の描写に、惜しみない愛情を注いでいる。(『シャガール 私の物語』図録、2008)