HIRAKU PROJECT VOL.5
《untitled –rain DDR–》 2014年
左・中央: Installation view : Arts Maebashi, Gunma Photo by Shinya KIGURE
右: Installation view : tim|State Textil and Industry Museum Augsburg Photo by Felix Weinold
平野薫KAORU HIRANO

記憶と歴史

ポーラ美術館は、2017年10月に、現代美術を展示するスペース「アトリウム ギャラリー」をオープンし、平成8年よりポーラ美術振興財団が助成してきた若手芸術家たちを紹介する「HIRAKU Project」を開始しました。第5回目の展示として、「平野薫―記憶と歴史」展を開催します。

Photo by LWL-Industriemuseum / Martin Holtappels

平野 薫KAORU HIRANO

[作家解説]
1975年長崎県生まれ。広島市立大学大学院修了(2003年)。古着などを糸の一本一本にまで解き、再構成する繊細なインスタレーションを手がける。第1回shiseido art egg賞受賞(2007年)。ACC日米芸術交流プログラムによりニューヨークにて研修(2008年)、文化庁新進芸術家海外研修制度によりベルリンにて研修(2009年)、ポーラ美術振興財団在外研修員としてベルリンにて研修(2010年)。主な展覧会に、「Re-Dress」SCAI THE BATHHOUSE(東京、2012年)、「服の記憶」アーツ前橋(2014年)、「Remembering Textiles」LWL-Industriemuseum TextilWerk Bocholt(ボホルト(ドイツ)、2016年)、「交わるいと」広島市現代美術館(2017年)など。

[展示概要]
平野薫は、古着や布製の小物などを糸の一本一本にまで分解し、それらを展示空間の中に再構成する繊細なインスタレーションを手がけてきました。ドレスや下着、靴、傘といった身の回りのモティーフは、元々の素材である糸の状態に戻されることで、撚れ(よれ)や色褪せを一層顕在化させ、それを身に付けていた人の「気配」や「身体性」、そして個人の「記憶」を強く感じさせます。

本展覧会では、身近なモティーフから漂う個人の記憶や経験を扱いながらも、それを歴史という大きな流れの中に還元していくことをテーマとし、3点の傘を組み合わせたインスタレーションと工業用のミシンをモティーフにしたインスタレーション計4点を展示します。うち、3点は新作となります。

3点の傘(旧作1点、新作2点)を組み合わせたインスタレーションでは、作家が留学したドイツの傘(旧東ドイツ製)と、故郷・長崎、そして現住地・広島で入手した傘を使用しています。3つの都市で出会ったモティーフのインスタレーションが重なることで、これらが歴史的に強い意味を持つ場所であることを想起させます。
また、工業用のミシンや糸を使った新作インスタレーションは、これまでの平野の作風とは大きく異なる、新たな展開を予見させるものです。戦時中の重機製造にルーツをもつメーカーのミシンを用い、戦後日本の高度経済成長を支えた工業機器と、私たちが日々消費する衣服や繊維との関係性、そして近代日本の歴史を暗示するかのような作品を試みます。

個人の記憶を歴史の中に還元すると同時に、歴史という漠然とした概念が「誰かの記憶や経験の集積」であることを、観る者に強く訴えかけることでしょう。

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©KAORU HIRANO
©KAORU HIRANO
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List of Works

出品リスト

1. machine
2018年 素材:工業用ミシン、ミシン糸、電動シリンダ、制御盤
2. untitled -rain DDR-
2014年 素材:傘
3. untitled -rain Hiroshima-
2018年 素材:傘
4. untitled -rain Nagasaki-
2018年 素材:傘

Exhibition

展覧会

平野 薫 「記憶と歴史」

主催:
公益財団法人ポーラ美術振興財団
会場:
ポーラ美術館 アトリウム ギャラリー
協力:
SCAI THE BATHHOUSE