自然と都市 印象派からエコール・ド・パリまで

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開催趣旨

自然と都市にみる、フランス風景画100年の変遷


自然と都市の風景は、時代とともに変化していく美意識を反映して、絵画のなかでさまざまに描かれてきました。近代化が進んだ19世紀後半、画家たちは自然と都市という二つの主題との新たな関わり方を模索します。移ろう光によって刻々と姿を変える自然の様相に主題を求めたモネ、未開の地タヒチを文明に対する理想郷として描き出したゴーガンなど、この時代における風景表現は多様な展開をみせます。また、シャガールが故郷の町を、デュフィが芸術都市パリの華やかな姿を描くとき、都市や町の風景は歴史や個人の記憶と深く結びつき、その絵画は画家たちの想いをあざやかに伝えています。
本展覧会では、ポーラ美術館の西洋絵画コレクションより、19世紀後半から20世紀初頭にかけて制作された風景画約70点を紹介し、絵画に表わされた自然と都市の関わりを探ります。

開催概要

会  期 
10月3日(土)~ 2016年3月13日(日) ※会期中無休
開館時間 
9:00~17:00 (入館は16:30まで)
作品点数 
約70点 ※会期中展示替あり
主な出品作家
 
ジャン=バティスト=カミーユ・コロー、ギュスターヴ・クールベ、
ウジェーヌ・ブーダン、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレー、
クロード・モネ、ピエール・オーギュスト・ルノワール、
ポール・ゴーガン、フィンセント・ファン・ゴッホ、
ピエール・ボナール、ラウル・デュフィ、レオナール・フジタ(藤田嗣治)
マルク・シャガール他

みどころ コロー、モネ、ゴーガン、シャガール、デュフィ・・・巨匠たちの名品でフランス風景画の変遷を辿ります

19世紀後半から20世紀初め、パリは近代化の波によって巨大な都市へと変貌をとげました。自然と近代的な建造物とが共存する様相を目にした画家たちは、風景画の主題となる「自然」と「都市」をあらためて意識し、制作の新たな着想源としていきます。
本展では、コローの作品から出発し、モネやゴーガン、シャガールら印象派からエコール・ド・パリの画家たちの風景画にあらわれる「自然」と「都市」をめぐる美意識の変遷をひもときます。

モネ《グランド・ジャット島》リサイズ済み

クロード・モネ 《グランド・ジャット島》 1878年

シャガール《町の上で、ヴィテブスク》リサイズ済み

マルク・シャガール 《町の上で、ヴィテブスク》 1915年
(c) ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015, Chagall(R)
E1843

みどころ2 箱根でパリ散歩! 名画でめぐるパリ

パリでは、1889年と1900年に開催されたパリ万博を機に、エッフェル塔などパリを象徴する建造物が多く建てられました。これらはパリの名所となり絵画の題材となったほか、20世紀初頭に流行した絵葉書の題材としても人気を博しました。 本展では、絵画と絵葉書を併せて展示し、絵画と写真の風景を比較できるようにご紹介します。また、会場で配布する地図を配した資料とともに、パリを散歩するように展覧会をお楽しみいただけます。【会場配布のリーフレットは配布を終了いたしました。】

みどころ2 リサイズ済み1

ラウル・デュフィ 《パリ》 1937年

みどころ2 (1)リサイズ済み

絵葉書「未来のパリ」

みどころ2 (6)リサイズ済み

マルク・シャガール 《オペラ座の人々》 1968-1971年
(c) ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015, Chagall(R)
E1843

みどころ2リサイズ済み

絵葉書「パリ・オペラ座の広場」

みどころ3 ウジェーヌ・ブーダン、レオナール・フジタ(藤田嗣治)新収蔵作品2点を初公開!

このたびポーラ美術館では、モネに戸外制作を教授した画家として知られるウジェーヌ・ブーダンと「乳白色の下地」で世界的な名声を得た画家、レオナール・フジタ(藤田嗣治)の2作品を新収蔵しました。
この新収蔵により、ブーダンのコレクションは3点となります。また、フジタがエコール・ド・パリの画家として活躍した1920年代の作品が加わり、レオナール・フジタコレクションは176点となります。

みどころ3 (2)

ウジェーヌ・ブーダン 《海洋の帆船》 1873年

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レオナール・フジタ(藤田嗣治)《少女と猫》 1926年
(C) Foundation Foujita /ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015
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展覧会構成

1 自然へのアプローチ: 観察と写実  

19世紀の半ば、クールベやブーダンは、歴史や神話に題材をとるアカデミズムから離れ、絵画の主題を現実の風景に求めて自然のなかに歩みをすすめました。モネはブーダンから戸外制作を学んで印象主義を展開し、うつろう光のもとで目にしたものをあざやかな色彩で画面に写しとりました。彼らは自然の観察をもとに、その美しさを発見しカンヴァスに写しとったのです。

1章 (3)リサイズ済み

ジャン=バティスト=カミーユ・コロー 《森のなかの少女》 1865-1870年頃

1章 (1)リサイズ済み

クロード・モネ 《ジヴェルニーの積みわら》 1884年

2 自然と都市の交差:近代化する自然  

2章 (1)リサイズ済み

クロード・モネ 《散歩》 1875年

2章 (3)リサイズ済み

クロード・モネ 《花咲く堤、アルジャントュイユ》 1877年

印象派の画家たちが活動した時代は、近代化とともに産業や鉄道網が発達した時代でもありました。自然と都市が交差する姿は、印象派の絵画にもあらわれ、自然を求めて行楽に訪れる都市の人々の姿や、近代的な建造物が描かれるようになります。
ここではモネやルノワール、シスレーの作品から、自然と都市の要素が共存する風景画を紹介します。

3 理想郷としての自然:理想と憧れ  

画家たちはしばしば、自然を描く上で自らの理想を投影してきましたが、近代化が進むにつれ、手つかずの自然や、文明化していない世界への憧れが加速していきました。彼らの多くは都市を離れ、ピサロは農村に、ゴッホは南仏のアルルに、ゴーガンはタヒチに憧れを抱き、自然を自らのユートピアとして描き出しました。

3章 (5)リサイズ済み

フィンセント・ファン・ゴッホ 《ヴィケラ運河にかかるグレーズ橋》 1888年

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ポール・ゴーガン 《小屋の前の犬、タヒチ》 1892年

4 風景の記憶:風景に刻まれた時間  

4章 (3)リサイズ済み

クロード・モネ 《ルーアン大聖堂》 1892年

マルク・シャガール 《私と村》リサイズ済み

マルク・シャガール 《私と村》 1923-1924年頃
(c) ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015, Chagall(R)
E1843

風景画には、その土地や人々の姿だけではなく、積み重ねられた都市の歴史や、そこで過ごした画家たちの記憶が描きこまれています。モネが陽の光を浴びて輝くルーアン大聖堂や、霧に包まれたヴェネツィアの都市を描くとき、彼の目は刻々と表情を変えていく光の様相だけでなく、建築物に刻まれた長い歴史をも捉えています。またロシアに生まれ、世界各地を転々としたシャガールは、移り住んだパリをはじめとする町と、故郷の町の記憶とを重ね合わせながら制作しました。

5 パリの諸相:近代都市の肖像  

パリは、19世紀後半から20世紀初めにかけて巨大な近代都市へと変貌します。この時期のパリでは、印象派からフォーヴィスム、エコール・ド・パリといった多くの美術の動向が生まれ、ヨーロッパにおける芸術の中心地となりました。芸術家たちは、エッフェル塔をはじめとする万博の際に建設されたモニュメンタルな建造物、あるいは都市整備から取り残された郷愁ただよう街並みを、芸術都市パリのシンボルとして描きました。

5章 (3)リサイズ済み

ラウル・デュフィ 《パリ》 1937年