次回の企画展

ルドン ひらかれた夢ー幻想の世紀末から現代へ

会期:2018年7月22日(日)-12月2日(日)*会期中無休、但し9月27日(木)は展示替えのため企画展示室は休室
協力:岐阜県美術館

本当に「孤高の芸術家」だったのか?
オディロン・ルドンの芸術をいま捉えなおす。
ルドンが生きた世紀末という時代のなかで、そして現代美術の視点から。

19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスで活動した芸術家オディロン・ルドン(1840―1916)は、印象派の画家たちとほぼ同じ世代に生まれながらも、不気味な怪物たちが蠢く世界や、神秘的なヴィジョンに満ちた幻想的な場面を絵画に残しました。その謎めいた絵画ゆえに、これまでルドンは、心の中に潜む「内なる世界」に向き合いながら奇妙な作品を制作し続けた孤高の芸術家と考えられてきました。

ところが、近年の研究によってルドンの新しい側面に光があてられています。公開された彼の手記や手紙にもとづく客観的な分析を通して、彼の作品を同時代の潮流の中であらためて捉えなおしたところ、ルドンは当時目にすることのできた過去の美術史上の傑作や同時代の美術作品をはじめ、自然科学の挿図や戯画などの大衆文化という、彼を取り巻く世界から多大なる影響を受けていることが明らかになってきたのです。

本展覧会は、これまで築き上げられてきた孤高の幻想画家という芸術家神話を解き明かし、様々な価値観が交錯する時代のなかで探究を続けた「ひらかれた」芸術家ルドンの姿が明らかにする試みです。さらに幻想や神秘の世界を追い求める現代作家との比較を通して、ルドンの生み出した芸術の今日的な意義を検証します。

ルドン全図2

オディロン・ルドン《神秘的な対話》1896年頃 油彩/カンヴァス 岐阜県美術館

みどころ1.「孤高の画家」ルドンの幻想の源泉を探り、謎に包まれたルドン像を明らかに!

ルドンは19世紀末に隆盛する印象派の芸術に背を向け、神秘に満ちた幻想的な世界を描き続けました。さらに世紀末に広まった「象徴主義」のなかでも特定の流派に属することなく、独自の探究を重ねた孤高の芸術家と考えられてきました。しかし近年では客観的な分析を通して、実は過去の巨匠たちや同時代の美術作品や、挿絵等の大衆文化などから影響を受けていた事実が明らかになっています。
本展では、ルドンの画業を横断しながら、主題ごとに、その源泉や制作のプロセスをひもとき、これまで閉ざされた精神のなかで培われてきたと考えられてきたルドンの幻想的なイメージがどのように生成されたのかを検証します。

みどころ2. 国内のルドン・コレクション101点を展示。技法材料の調査も!

世界的なルドン・コレクションを誇る岐阜県美術館より借用した88点をはじめとする国内の101点のルドン作品を展示します。版画作品からパステル、素描、油彩画、装飾美術まで、初期から晩年までを網羅する傑作が箱根に集結します。また、これらの豊富な分野にわたる作品を技法材料の視点から分析することで、ルドンが当時した登場ばかりの顔料に着目し、印象派や新印象派と同様に科学的な色彩論を制作にとり入れていた可能性を調査します。

みどころ3. 鴻池朋子などの現代美術から、岩明均などのマンガの世界まで。現代に息づくルドン的な幻想世界を紹介!

ルドンが19世紀末という激動の時代のなかで生み出した神秘の世界は、我々の生きる現代にも息づいています。本展では、柄澤齊、イケムラレイコ、鴻池朋子という、ルドンと通じ合う幻想的なテーマを追い求める現代の作家をご紹介します。
また、水木しげるから、岩明均『寄生獣』や押見修造『悪の華』まで、ルドンを連想させる「目玉」の表現によって奇想のマンガを展開するマンガ家たちの作品を比較することで、19世紀という時代にとどまらない、ルドン芸術の今日的な意義を検証します。

『起源』Ⅲ.不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた403

オディロン・ルドン《Ⅲ.不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた》『起源』1883年 リトグラフ/紙 岐阜県美術館蔵

オディロン・ルドン《イカロス》403

オディロン・ルドン《イカロス》1890年頃 油彩/紙(カンヴァスに貼付)ポーラ美術館蔵

ルドン《日本風の花瓶》1908年403

オディロン・ルドン《日本風の花瓶》1908年 油彩/カンヴァス ポーラ美術館蔵