知ルドン

2018/06/27

オディロン・ルドンについて

1840年、フランス、ボルドー生まれ。
幼少期をボルドー近郊のペイルルバードで過ごす。
39歳にして版画集『夢のなかで』でデビューし、同時代の文学者・批評家に高く評価され、精神性を重んじる「象徴主義」を代表する芸術家として人気を博した。1890年頃からは徐々に版画やモノクロームの素描から離れ、パステル技法から得たあざやかな色彩を用いて幻想的な花や神秘的な場面を描いた。

激動の世紀末を戦略的に生き抜いた画家、ルドン

自伝のなかでルドンは、自身の幻想世界は、家族から離れて暮らした孤独な少年時代に、夢や幻視から生み出したものであると語り、自らの独創性、孤高性を強調しています。こうした資料からは、印象派などの同時代を生きるライバルたちとの関係の中で、芸術家としての自らの見え方をも意識し、戦略的に生き抜こうとしていた姿勢がうかがえます。

ルドンのエピソード ―世に認められるためのさまざまな努力

ルドンは人々に認められるために、まず作品を影響力の強い詩人・美術批評家に送ります。
その結果、美術雑誌などで作品が紹介され、版画家としての人気を確立しました。しかし、まだまだ版画はマイナーな分野。そこで友人の詩人や美術批評家に頼んで自分の作品をフランス政府に購入してもらおうと画策しました。何度か断られますが決して諦めず、ついに1904年に《眼を閉じて》(1890年、オルセー美術館蔵)が国家買い上げとなり、ルドンは国民的な芸術家として認められました。

ルドンをめぐる資料

近年の研究では、ルドンの制作のプロセスや着想源がわかってきたことで、ルドンが演出しようとした「孤高の画家」とは異なる、ルドンの姿が明らかになってきています。
更に、ルドンの歿後に長らく伏せられていた手記や手紙なども新たに公開されています。このなかにはルドン自身が付けた作品名を記した売買記録など、作品の正確な主題や制作年代を特定できる資料も含まれています。
ポーラ美術館収蔵の《静物、花と果物》もこうした資料により、1908年頃の制作であることがわかりました。

「アンドレ・メルリオ・ペーパーズ」
批評家アンドレ・メルリオが集成したルドンの手記・手紙・資料の複写(オリジナルはオランダ人コレクターが購入)。1994年に公開。

「リーヴル・ド・レゾン」
フランス人コレクターであるギュスターヴ・ファイエの孫であるロズリーヌ・バクーが所有していたルドン作成になる作品リスト。2002年に公開。