モダン美人誕生
岡田三郎助

2018/11/07

第3章 作り出される流行 ― 百貨店のイメージ戦略と岡田の美意識

当時の画家は岡田をはじめ、百貨店業界と深く関わっており、今でいうデザイナーやクリエイティヴディレクターとして、流行の創出に大きく貢献していました。
また、岡田は染織品の蒐集家でもあり、自らの審美眼で選んだ着物をモデルに纏わせ、作品に残しました。女性のよそおいに対する岡田の優れた感性は、当時のファッション業界との関わりの中で生み出されたといえるでしょう。

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《あやめの衣》のモデルが纏う着物も、旧岡田コレクションのひとつ。江戸時代の琳派を思わせる杜若と八橋の模様や、青と朱のあざやかな色の組み合わせが女性の肌の美しさを引き立てています。

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三越呉服店のポスターとなった岡田の《婦人像》。大きな瞳が印象的な女性が描かれており、百貨店による流行の創出イメージ戦略とブームの創生を象徴する作品として知られています。

ファッション業界と芸術家

当時の画家は、今でいうデザイナーやクリエイティブディレクターの役割を担っていました。画家が広告のために作品を描くこともあれば、絵画作品そのものが、駅看板として使用された例もあります。

このほか、髙島屋のポスターを手がけた北野恒富(1880-1947)、同じく髙島屋の着物の図案を考案した竹内栖鳳など、百貨店とタイアップし、商品や広告を手がけた芸術家は枚挙に暇がないほど。画家の描く絵画が百貨店のイメージや流行のファッションを象徴するものとなったのです。

大阪梅田駅構内に掲げる看板として岡田三郎助が描いた作品。幅約3メートルの巨大な作品で、季節に合わせた装いを宣伝するために、季節にあわせて異なるバージョンも制作しています。

岡田が高島屋のポスターのために描いた作品とポスター。