マルリーの水飼い場

  • 作家名 アルフレッド・シスレー
  • 制作年 1873年
  • 技法・素材 油彩/カンヴァス
  • サイズ 98.1 x 130.5 cm
シスレーは、イル=ド=フランスのセーヌ河畔の村を転々として生涯のほとんどを過ごした。1872年にパリを離れ、ルーヴシエンヌを経て、パリの西15km、ヴェルサイユとサン=ジェルマン=アン=レーに近いマルリー=ル=ロワに1875年に移り、この地で2年間暮らした。マルリーは17、18世紀にわたって、王家の所有地であり、丘の上の広大な森は王の狩猟場だった。19世紀には、マンサール設計によるルイ14世の城館や庭園の跡地が残る、人気のある行楽地となった。シスレーは、マルリーでもっとも古い通りのひとつで、ヴェルサイユとサン=ジェルマン=アン=レーを結ぶアヴルヴォワール(水飼い場)通り2番地に住み、水飼い場を繰り返し描いている。1699年にルイ14世によって建設された水飼い場は、ヴェルサイユの庭園にも水を供給していた、「マルリーの機械」と呼ばれる、セーヌ河水の揚水装置で汲み上げられた庭園の池の流水を利用したもので、馬の水飲み場としてばかりでなく、村にも水を供給していた。1862年には歴史的建造物に認定され、現在は国家が所有している。(『モネと画家たちの旅』図録、2007)