《モンスーリ公園》のための習作(あずまや)

  • 作家名 アンリ・ルソー
  • 制作年 1908-1910年
  • 技法・素材 油彩/紙
  • サイズ 19.2 x 25.7 cm(画面)
本作品は、ルソーがモンスーリ公園の実景を前に制作した習作である。このような小さな紙やカンヴァスに描かれた習作は20点ほど現存しており、ルソーの風景画の制作手順について手がかりを伝えている。ルソーはまず戸外でおおまかなタッチで重要な建物などのモティーフや空模様をすばやく捉え、アトリエに持ち帰ったのちに人物像や建物、樹木などを加えて構図を整え、時間をかけて作品を仕上げたようだ。この習作に対応する油彩画の大作に、あずまやの前に貴婦人と紳士が散策する《モンスーリ公園》(1908-1910年、バーンズ財団蔵)があり、このほかに異なる構図でモンスーリ公園をテーマにした油彩画を4点ほど残している。 ルソーがこの習作をアトリエの壁にピンで貼り付け、構想の端緒とした様子は、ピカソが撮影した写真によって明らかになっている。この写真は、ピカソがいかにルソーと親しく交流し、ルソーのアトリエを訪れたかを証明する写真でもある。 1910年にピカソが撮影したルソーの肖像写真の背景には、本作品が無造作に壁に貼り付けてあるのが見られる。ルソーは同じ壁一面に、額装した写真や版画、習作など、彼の大切なメモラビリアを飾っていた。この壁はカンヴァスに向かうルソーが参照し易い位置にあり、同時にアトリエに招かれた客が覗き込むことができた。ピカソがルソーを訪ねたのは春のことであり、その後、この作品はアトリエを訪ねた友人に贈られたようである。ルソーは友人たちに友情の印として快く自作を与えた。裏面に「わが友ギダンヌに捧ぐ パリ、1910年6月4日 H. ルソー」との献辞が油彩で記されている。 (『アンリ・ルソー:パリの空の下で』図録、2010年)